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この一年、我々を取り巻く風景は一変した。正確には風景ではなく、それを受容する我々の態度が一変した。語弊を恐れずに言えば、風景は何も変わらなかった。

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天災、人災による破壊と創造は目を奪う風景の変化とともにあると勘違いしていたのかもしれない。しかし、今回、それは風の中に起こった。そして「口から出るものが人を汚す」となり我々は口を覆った。注意深く言葉を発する日々の中で、画面の向こうで口を覆わず発せられる言葉は、もはや別の世界の話となり信憑性に薄い。「立ち止まること」は死を予感させ、恐る恐る、もしくは開き直って歩を進めるよりない。

「LG21クロニクル」は2020年度に上演を予定していた作品だった。

前年度に上演した、水没したと仮定した「オオサカ」を観客とともに回遊する作品「ジャンクション」を元に、その延長線上にある都市の未来を描く作品となる予定だった。しかし、その線は大きく折れ曲がった。その「風」の中に観客を晒すこと、語る言葉に観客を晒すことが生命と隣り合わせる環境を整えることができず上演を断念した。

来年度、この「風」と「言葉」を取り巻く環境がどう変わっているかわからない。

ウイルスとの戦いは科学に任せるしかなく、我々の表現その最前線に立つことは叶わない。

できることは記録することだ。そして、それを記憶するための言葉を探すことはできるのではないか。「LG21クロニクル」は、この現状の中、都市に生きる人々の言葉を丹念に拾い集め、大量のモノローグとして提示したい。それは連続した物語として観客の前に提示されるのではなく、あくまで切片として存在させ、観客はそれを選択可能な状態で鑑賞するスタイルとしようと思っている。

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本公演では、上演中、俳優の演技に加えて録音音声を使用します。つきましては、声の出演にご協力いただける方を若干名募集いたします。ご興味のある方は、お問い合わせよりご連絡ください。

​※出演者決定につき、募集締め切りました。

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